昼行バスは30分程出発が遅れ、30分程早く目的地に到着する。車中では村上春樹『色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年』の残りを読み終えたり少し眠ったり。浜名湖SAで買い食いしたこっこのアイスキャンディーバナナ味は可愛らしい味だった。数年前に目黒でMりちゃんに連れていってもらった果実園が新宿にもあることをふと思い出し、行ってフルーツサンドを注文する。フルーツサンドは生クリームとフルーツの硬さと甘さのバランスがいのちだな!お腹が膨れたのでそのまま徒歩でオペラシティまで。アートギャラリーで「片山正通的百科全書 Life is hard... Let’s go shopping.」展を鑑賞する。ライアン・ガンダーの作品のみが収められた広めの部屋があり、音は二つのアイデアの衝突でつくられる、みたいなタイトルのカラフルな作品に沿って歩いてみたりする。ほか、村上隆河原温、五木田智央、ホンマタカシなど。松江泰治の映像作品は永遠に見ていられるなあ。つづいて「収蔵品展058 ブラック&ホワイト 色いろいろ」へ。大竹伸朗の《夢 #1(調律用くさび1)》《夢 #2(火を起こす)》がなんだかとても好き。黒くも白くもなかったけれど。このところ関東では人に会うことの方が多くて美術館やギャラリーを回れていなかった。回ろう。そうしていよいよハインツ・ホリガー『スカルダネッリ・ツィクルス』。隣のいない席で2時間半ゆったりと音を浴びる。集中力が持つか心配だったので、少し長めの映画を見るつもりで臨んだら、なんだなんだ一瞬だった。あれはオペラだったのかしら。観客を四方から囲み奏でられる冬3の合唱の響きはただただ美しく、つい向こう側の世界と繋がるような気がしてしまい、目に涙がたまる。春1の肺をほぼ空にして歌ったり息を吸いながら歌ったりするのやってみたいなむずかしいかな。曲間に発せられる作曲者の声も良い。すごい体験をした。
帰って、ベケットの『行ったり来たり』を聴いたりする。