すべて録画してあるのに第一話しか見てなかった黒沢清『贖罪』を第一話から第五話まで五日かけて見る。分けて見たのに?から?300分をしっかりと感じることができたような。第五話が特に素晴らしく、冒頭、ゴミ袋と小泉今日子のどうってことない画がどうってことないのにどこか気味悪かったりして、黒沢清はこわいって知ってるのに忘れてた、ことに気がつきそのぶん興奮する。終わりの始まりって残酷やな。香川照之にだけは追いかけられたくない。ほんとの子供なら陵辱したいって思わないんじゃないの?そこだけちょっとわからなかった。お巡りさんは好きじゃないけど新井浩文みたいなお巡りさんとなら仲良くなりたい。第三話のサクラちゃんもよかった。蒼井優森山未來もみんなちょっとだけ若い。大窪人衛さんもいきなり出てきてびっくりした。あー黒沢清超好き!

いつぶりかのアバンギルドでKKさんのコントをみる。ロバートとニーロがカルチャースクールに忍び込みアルゼンチンタンゴのクラスでアンタの本場はホンマ?とラップを披露したりルックルックこんにちはとか言ってみたり入る時にハイル!と叫んだりいろいろたのしい。かねこさんにはどんどん無駄なことしてってほしいなあ。それが豊かなこととわたしもおもうので。若旦那家康さんたちロープマンのWindowsXPでフォルダやファイルがビル・ゲイツと戦う話もくだらなくておもしろかった。てかアバンギルドまで早足で10分そこらってほんといいとこ住んでる。

バーナード・ローズ『サムライマラソン』@MOVIX京都

長谷川さんふつうにめちゃかっこよかった。言いたくない台詞は言わなくていいなどと俳優に委ねてしまうらしい監督にやや不信感を抱いていたけど豪華キャスト演じるそれぞれのキャラが立っていてこれはこれで悪くないなと。佐藤健森山未來染谷将太もちゃんと俳優なんやな。邦画特有の冗長性を感じさせず全体がコンパクトにまとまっていて良い悪いはさておき編集の力を感じた。上綱麻子は『WE ARE X』の編集のひと。ふむ。映画とピストルってやっぱ好相性。佐藤勝『火祭りの踊り』使われてたのー。グラス久しぶり。「映画の中のさまざまな視覚的要素を捉えたものになっています。例えば、雄大な自然の場面では、オーケストラの音色でその景観を表現しました。」?!

アナザースカイでロンドンをうろうろしてらした齋藤飛鳥さんが写真で見るよりぜんぜんかわいくてやられる。話のつまらない人とは一言も話したくないみたいなこと言ってらしてほれました。

電子書籍の利用が増える一方ぱらぱら捲りたい漫画もまだあって。そのひとつが『こいいじ』だった。恋いいな、意地いいな、って、思わせてくれてありがとう、忠実ちゃん。奥田民生『スカイウォーカー』のような、ただただただようだけの恋がしたい、続きはなくてもいい、ないほうがいい、とか思っていたら、できてしまって、そしたらやっぱり続いてほしいと欲どしくなり、ほんとめんどくさい。

こいいじ(10) (KC KISS)

こいいじ(10) (KC KISS)

 

ネトフリお試し期間中でオーソン・ウェルズストレンジャー』を見たらあとから鑑賞記録により2年前に見ていたことを知る。そんな気はしつつも細部はまったく覚えておらず精緻な演出にいちいち感動し通しだったので見直せて良かった。同じ映画を繰り返し見るって殆どしないけど、大事なのかもなあ、今更やけど。

岩井秀人『やっかいな男』やっと読む。テレビブロスの連載たのしみに読んでいたけどこの度読み返して今も岩井さんは自分のタイプなんだとおもった。

「あなたが「死にたい」と思ったり、絶望したときに立ち上がったのはもちろんあなたの力以外の何ものでもないが、その力のうちのいくつかは文化の力によるものに違いないのであります。」

「なんか作ってる人、仕事やってる人でも、「お客さんが…」って気になっちゃうと思うんだけど、それを捨てろとは言わないんだけど、迷った時は自分を信じた方がよいと思います。成功しよう、じゃなくて、成功しても失敗しても納得がいくことをする、っていうかさ。」

「人との出会いや出会ってからの関係の変化の仕方に決まりなんてもちろんなくて、出会い方も変化も一緒に楽しめるのが、友達なんだろうと思う。」

とか。至極真っ当なひとだとおもう。好き。

村川拓也『ムーンライト』@京都市西文化会館ウエスティ ホール

上桂駅から楽器を持ったひとたちがぞろぞろと進む先はなんとなく自分の目的地とは違う気がして一度は立ち止まり地図を確認するもなぜだかグーグルマップが信じられず再び皆と同じ道を行く。しばらくして、これは明らかに違う道だ、だから自分だけは次の通りを左折するんだ、と強く決意したはずが、前を歩いていた演劇関係者、のようになぜかその時は見えた二人組の後を追い、渡らなくても良い横断歩道を渡ってしまう。二人組はそのあと小さなビルにすっと消えた。

KKさんもほぼ同じ体験をしたそうで、人間の心理って不思議だなあなんて。

ある一人の男性がベートーヴェンピアノソナタ第14番を演奏するに至るまでに辿ってきた時間の断片が、額縁をつけて無理矢理立体的にした一枚の写真のように次々と提示されていく。それが村川氏の新作だった。

いまここに、記憶が記録されていく。静かに、ただ静かに、観客たちはそれを見守る。自分とは何の関わりもない人間の人生を追体験することで、自分を中心として回っていたはずの世界の軸がぶれる。自分とは何の関わりもない人間なんて幽霊のようなものなのに。

作り話だと疑うことはできるし実話だと信じることもできる。だから作品に対して観客はどこまでも自由だ、なんてことはなく、けっこう不自由なんだな、と今日はおもった。

久しぶりにTMーさんに、ばったりKMさんに会えたのも嬉しかったなあ。

KKさんからは演劇の話を聞き、自分は音楽の話をとつとつと。この人は、と思う人のことはどこまでも応援したい。