藤井仁子ニコラス・レイの講義を聴きに神戸映画資料館へ行く。参考上映はわたしが唯一観たことのあるニコラス・レイ作品『大砂塵』でプリントはぼろぼろ。自分が観るぶんに関してはプリント上映にとくべつこだわりはないのでできれば違う作品がよかったなあ。もちろん『大砂塵』は傑作なのだけれど。ニコラス・レイ独特の後味のわるさは人にはそれぞれの言い分があるという事実をルノワールよりもっとまじめに彼が捉えているからでそれゆえ悪人が根っからの悪人として描かれていないのでたちが悪かったりする。ゴダールは「この世から映画というものが消えてなくなってしまってもニコラス・レイは再び映画を発明するだろう」なんていう真に受けたらえらい目にあいそうな発言をしてるみたい。その他『理由なき反抗』の冒頭の演出が奇跡的であることや『夜の人々』の全篇を見守る不思議な視点についてなどなど
帰りしな、あまつさんにニコラス・レイの女性の描き方について聞かせてもらう。誰かを良く見せるために他を悪く描くやり方はやっぱり間違っているよなあ。