ナナゲイオリヴェイラ『ブロンド少女は過激に美しく』を見に行く。何も知らずに見終わったひとはたぶんこの映画が昨今の映画が当然のように要する上映時間の約半分でできていることにまずおどろくとおもう。回想するたびに不必要なものが削ぎ落とされたであろう男の身の上話は64分という時間にすっぽりおさまる。また男の部屋のベランダには少女の部屋の窓がすっぽりおさまり、男の胸には少女がおさまり(片足があがる!)、少女の指や掌には指輪がすっぽりおさまる。実におさまりのよい映画、なのに車内で男の話を聞く隣の席の老婦人の視線、あれだけはどこにもおさまらず。