鈴木卓爾私は猫ストーカー』を新宿三丁目にあるシネマート新宿で見たのでその感想というかレビューというか書きたいなあと思うのだけど、蓮實重彦がだいたいのことをもうとっくに書いてしまっていたりする。
井口奈己『犬猫』に、主人公が坂を駆け降りていったりジュースの缶が転がり落ちていくシーンがあって、好きなシーンなので覚えていて、だからこの作品の中でハルにぶつかりそうになった自転車がそのままスイーと坂を下っていき角を曲がるところでハッとしたり、電話のシーンは相米慎二『雪の断章』を思い出したりしたりしたけど、そんな、誰かと比べるつもりは毛頭なくて、ただ思い出してしまったから。
最近は無意識にどんな映画もホラーとして見てしまう傾向があるようで、だからこの作品もホラーのように見えた、あのお坊さんとか赤い本とかなにがなんだかわからない、登場人物でまともなひとなんかひとりもいない、そして一週間経ってもたぶんこれからもしばらくは頭から離れないテーマソング。なんちゅうかタイトルに惹かれてやってくる天然ナチュリラ系観客にこびてないところが正に猫の映画だなあ、とか。隣で見てたカップルは途中から退屈そうに体をうねうねさせていた。
「猫かわいかったね」で終わるわけない!